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イルカ至上主義 |
「決めましたよ!イルカ先生。」 「はい?」 「オレは今から”イルカ至上主義”を発動します。」 「ずっとイルカ先生の傍にいて、たとえ任務が入っても放棄します。」 「な…何言ってるんですか?!」 「決めたんです!」 「だから…」 「だから早く元気になって。先生。」 オレのイルカ先生は既に3日、風邪を引いて寝込んでいた。 青白い顔のイルカ先生は 日ごろの彼とのギャップのせいか ひどくオレを不安にさせた。 この数ヶ月と言うものアカデミーの仕事が忙しく 更に受付やらの雑務を兼任し まさに休みも無く馬車馬の如くに働いていたのだ。 そんな状況が長く続くわけもなく 当然イルカ先生は体調を崩したのだ。 「今からツナデ様に直談判に行ってきます!」 「ちょっと!ちょっと待って!!!」 「カカシさん!!」と背後からイルカ先生の声が聞こえたけれど オレは立ち止まらずに部屋を出た。 もちろん向かうは火影執務室だ。 「ツナデ様。オレ、イルカ先生の風邪が治るまでは任務一切受けませんから!」 「…何言ってんだい。」 「本気です。任務入っても放棄しますよ。」 「…。」 「何言っても無駄です。」 「ダメだって言うならイルカ先生連れて里抜けます。」 オレは一気に捲くし立ててやった。 はっきり言って怒っていた。イルカ先生を倒れる程働かせたなんて。 イルカ先生の体調が悪いなんて オレの精神は不安定だ…任務になんて集中できない。 イルカ先生が元気になるまで傍を離れたくない。 「この里を抜けたらイルカ先生を里長にして新しく2人で里を作ります。 きっとナルトも付いてきますよ。」 「…っ」 ピクリと視線が動く。 ナルトはこの女傑のお気に入りだ。 「オレは2人っきりの方が良いけど、イルカ先生が寂しいだろうし。 ナルトがどうしてもって言うなら仕方ないですよね。」 「…」 たっぷり時間をかけて、目の前の里長がため息をついた。 「はぁ…まったくお前は…」 「こんなアホは使い物にならん。さっさと私の目の前から消えな。」 虫でも払うように手を振られる。 言いたいことは言った。ここにもう用は無い。 早くイルカ先生の傍に戻らなければ。 部屋を出る瞬間に 「…ま、イルカにも無理させたからね。」 「とっととイルカの風邪を治すんだね。任務はそれからだよ。」 と声が聞こえた。 これで望み通りにイルカ先生の傍に居られる。 そう告げた瞬間のイルカ先生は 呆れていたけれど、それを口には出さずに 「早く治します。」 と一言だけ言った。 オレを不安にさせるなんて なんて貴方は酷い人。 人を騙しても、殺しても、オレの心は揺らぎもしないのに。 そんなオレを不安にさせるだなんて。 「早く治してください。」 オレは臥せっているイルカ先生よりも弱々しい声で 一言そう答えた。 |
20070223 |
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